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■物語
すべての音色が調和するとき
世界はきっと今より美しい
職業を持ちたい。家族を持ちたい。普通のことなのに、遠い夢だった。
知的障がいがありながら全国2位に輝いたプロの和太鼓集団の感動の記録。
かつて長崎県雲仙市には立派な入所施設があった。
ある日理事長はみんなに聞いた。
「今一番したいことはなんだ?」て。
みんなは言った「うちに帰りたい」。
そこで理事長は施設を解体することを決意した。
彼らが民間アパートなどを借りて地域に出始めた当初、
町には反対運動がおこったが今では町の人も
優しく挨拶を交わしてくれる。
町で仕事に就き、家族を持つなど、毎日を充実して送る仲間が増えた。
映画の主人公「瑞宝太鼓」のメンバーもここに暮らしている。
彼らは、知的障がい者によるプロの太鼓グループだ。
年間に130回ほどの公演をこなしている。
団長の岩本さんは知的障がいがあった為に、
7歳の時に施設に預けられた。
その施設には、当時、岩本さんが所属していた
光太鼓というチームが今もある。
岩本さんは、彼らの中から「瑞宝太鼓」の
新しいメンバーが出ることを願って指導をしている。
現在の岩本さんの住まいは雲仙岳を臨む里にある
小さな民間のアパート。
訓練センターで知り合った奥さんの朋子さん、
4歳になる一人息子の裕樹くんと3人で暮らしている。
瑞宝太鼓のメンバーは、太鼓を打つことが仕事。
ある日、世界中で活躍している太皷表現師の時勝矢さんが、彼らの指導をしてくれることになった。
これは本当に奇跡だ。
時勝矢さんは、メンバーに楽譜を持ってきた。
楽譜を初めてみたメンバーに対して、時勝矢さんは、
口唱歌で指導をしていく。
「ドンドコドコドン」「バラバラテッコッテン」など口でリズムを刻み、練習をするメンバー。
時勝矢さんは、「瑞宝太鼓」のために『漸進打波』という新曲を書き下ろしてくれた。
障がい者だからといって易しい曲にするのではなく、同じプロとして、
しっかりと向き合う覚悟を決めて、あえて厳しく臨んだのだ。
岩本さんは一家3人で、
岩本さんのお母さん、富美枝さんのいる三重へ向かった。
幼い頃別れて以来、20年ぶりに会ったのは2人の結婚式だった。以来、5年ぶりに会うのだ。
飛行機と列車を乗り継いで、三重に到着。
裕樹君は初めておばあちゃんに会った。
兄弟の家族も集まった。別れの時、富美枝さんは、岩本さん一家が乗ったフェリーがみえなくなっても、しばらく手を振り続けていた。
そして、ついに新曲『漸進打波』を初披露する
東京公演がやってきた。
東京、草月ホール。東京で演奏するのは初めてだ。
果たして演奏は成功するのだろうか…?
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